よくある質問

労災保険、石綿救済法について

補償対象になるのはどのような病気ですか

代表的なものは中皮腫、石綿肺、肺がん、びまん性胸膜肥厚です。このうち、中皮腫と石綿肺は診断が難しく、石綿被害の知識のない担当医の場合誤診される例もあります。肺がんは喫煙など他の原因も考えられるため、補償対象として認定してもらうには、一定量以上の石綿を吸い込んだことの医学的根拠又は職歴を明らかにする必要があります。詳しくは石綿関連疾患の認定基準をご覧ください。

肺がんが労災認定されるのはどのような場合ですか

(1) 石綿作業従事歴が10年以上あり、かつ胸膜プラークがある場合、(2) 石綿肺を併発している場合、(3) 広範囲の胸膜プラークがある場合、(4)肺内部から一定量以上の石綿小体や石綿繊維が発見された場合などに労災認定が受けられます。生存中・死亡を問わず、まだ胸膜プラークや石綿小体等の検査を受けたことがない肺がん患者のご相談者は、弁護団にお問い合わせ下さい。

最近息苦しい症状が続きます。むかし石綿を扱っていたからと思うのですが、病院の先生からは「よくわからない」と答えられてしまいました

過去に石綿を吸い込んだことで石綿肺(じん肺の一種)になり、結核や続発性気管支炎を併発した場合、あるいは呼吸機能が一定以上に低下した場合は労災が適用されます。
担当医に知識が無い場合、職歴を十分に聞くことなく、これらの症状に対し「肺線維症」「間質性肺炎」「肺気腫」との診断がなされ、労災申請の機会を逃してしまう例もあります。
石綿に関わる仕事をしていた方が、上記の病名を診断された場合、当弁護団にご相談下さい。

労災が認定されるとどういう補償が受けられるのですか

治療費が全額補償され、療養期間中、平均賃金の80%相当が補償されます。被災者が亡くなられた後も、遺族に対して一時金及び場合により遺族補償年金が受けられます。さらに詳しい情報は下記をご覧ください。【労災補償と石綿救済法の比較表を参照】

労災と石綿救済法の違いは

石綿救済法の対象となるのは、①労災事案が時効にかかった場合と②労災対象外だが石綿関連疾患と診断できる場合があります。
①の場合は特別遺族年金(原則年額240万円)又は特別遺族一時金(1200万円)が支給され、②の場合は治療費、療養手当(月額103,870円)、葬祭料(199,000円)などが支給されます。
石綿救済法の療養手当は、労災の休業補償よりも相当低いです。また、葬祭料も労災と比べるとかなり低いです。労災のような遺族補償年金制度はありません。
このように、補償内容には大きな差がありますので、石綿を取り扱う可能性のある仕事をしていた場合、労災申請を優先的に考えましょう。

労災に申請期限はありますか

治療費、休業補償や葬祭料は費用の発生から2年、遺族補償は患者の死亡から5年経過すれば時効により請求できなくなりますので、補償を検討されている方は出来るだけ早く相談して下さい。
ただし、死亡後5年が経過した労災被害者の遺族は、石綿救済法により特別遺族給付金の支給が受けられます(労災時効救済制度)。

自営で石綿を取り扱っていた場合は労災の適用はありませんか

労災保険は雇用主が労働者のために掛けておくものですから、個人事業主が被災者の場合、労災が適用されません。しかし、個人事業主でも、一人親方として労災特別加入制度を利用していた場合や、独立開業前に石綿を取り扱う事業主に雇われていた場合、労災保険が適用される場合があります。
また、建設アスベスト給付金制度の対象となる方は給付金申請ができますので、要件をご確認ください。

労災申請の代行を依頼するメリットは

石綿被害の事件は、どこで石綿製品に触れる機会があったのか特定するのが難しい場合があります。また、被害者がすでに亡くなっている場合、ご家族は仕事の内容が分からず、病気の原因が仕事にあることを説明できないことがあります。
当弁護団では、たくさんのケースを取り扱っていますので、職歴に応じて必要な調査を行ったり、同業種の石綿被害に関する資料を活用したり、協力者(同僚や同業者)を探して証言を得ることで労災認定を獲得することができます。

労災申請や石綿救済法申請の代行にかかる費用はいくらですか。

ご依頼時の着手金はいただきません。認定結果を受けて給付金が得られた後、実費と11%(税込)の手数料をいただきます。

工場型アスベストについて

国が石綿工場の労働者と和解する要件とは

以下の条件すべてに該当する方です。

  1. 昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、労働者として、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと
  2. その結果、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水に罹患したこと
  3. 提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること

当時の勤務先が廃業(倒産)している場合でも、作業の証明はできますか

勤務先からの就労証明がなくても、被害者ご本人の説明や資料を集めることにより、国との和解手続が可能になる例もありますので、まずはご相談ください。
ご相談の際には、勤務先での年金の加入時期を証明する日本年金機構の「被保険者記録照会回答票」という資料があれば役立ちます。
「被保険者記録照会回答票」は、年金事務所の窓口で申請していただくか、「ねんきんネット」に登録したうえで、インターネット上のデータとして取得することも可能です(電子版「被保険者記録照会回答票」)。

石綿工場の労働者ではない被害者は国の和解対象外ですか

国が和解の対象とする「石綿工場」には、石綿製品の製造工場に限らず、石綿製品を加工、再利用する工場も含まれます。また、石綿工場に出入りしていた取引先の労働者も救済対象となる場合があります。
当弁護団では、石綿パイプを切削加工していた鉄工所の労働者や、石綿工場に出入りして設備の点検・修理を行っていた労働者についても和解に成功しています。
建設作業に従事された方は、建設アスベスト給付金制度の対象になる場合があります。

損害賠償請求権の期限とは

国は被災者に対し、不法行為責任として、被災者が損害を知って3年(発病、死亡、あるいは労災認定から3年など)、不法行為結果の発生時から20年に限り責任を負います。
これまで国は3年の時効を主張することはありません。しかし、石綿肺(管理2など)を長く患った方が提訴した場合、最初の管理区分決定から変更がなく20年を経過していた場合には時効を主張してきます。

病気や進行度によって和解基準額は異なりますか

国の和解基準額は、病気の進行度や被害者が生存中か死亡しているかによって変わります。また、下記の金額のほかに弁護士費用の一部や遅延損害金が加算されます。

(生存中の場合)

ア 石綿肺(じん肺管理区分)管理2で合併症がない場合550万円
イ 石綿肺管理2で合併症がある場合700万円
ウ 石綿肺管理3で合併症がない場合 800万円
エ 石綿肺管理3で合併症がある場合950万円
オ 石綿肺管理4、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚の場合1150万円

(死亡の場合)

カ 石綿肺管理2または3合併症なしで死亡1200万円
キ 石綿肺管理2または3合併症あり、石綿肺管理4又は肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚で死亡1300万円

勤務先から補償金を受け取っていた場合、国の賠償金は受け取れませんか

上記に示した国の和解基準額は、被害者がこうむった損害(慰謝料)の半額とされています。したがって、勤務先企業から受け取った見舞金や弔慰金などの補償金が国の和解基準額に満たないときはもちろん、基準額を超えていてもおおむね2倍を超えない場合には、国に賠償金を求めることができます。ただし、減額される場合があります。詳しい計算方法については別途ご相談ください。

労災や石綿救済法による補償を受けると国の賠償金は受け取れませんか

国が訴訟和解で支払う賠償金の性質は慰謝料であり、労災や石綿救済法の給付金とは別個の賠償金と解釈されています。
国の和解条件に合致する限り、労災等の給付金を受けていても賠償金が受け取れます。企業から受領する補償金等と違い、減額されることはありません。

労災認定がないと国の和解手続の対象にならないのですか

国は労災認定を和解の条件にしていませんが、国の和解条件である石綿工場での就労や石綿による病気の発症は、労災認定を受ける条件とほぼ一致します。
そのため、国の和解条件を満たす方で労災認定を受けておられない方は、先に労災の認定を受けられるよう申請手続をお手伝いしています。

病気の父に代わって妻(・子ら)が国の和解手続きを請求できませんか

当弁護団では、闘病中の被災者ご本人に代わり、ご家族による代理相談を実施しています。ご本人から聞いた事情や預かった資料によって請求の可否についてご回答することができます。
実際の和解手続き(提訴)には、ご本人の意思確認と委任状その他書類の作成が必要です。これらの手続きを弁護士が行ったのち、その後の手続きをご家族が代行することが可能です。

国の和解手続きは、遺族全員での請求が必要ですか

被災者ご本人が亡くなった場合、ご本人の国に対する賠償請求権は、遺産として、相続人の状況に応じて、配偶者(妻・夫)、子、きょうだい、孫、おい、めい、父母へと承継されます。
相続人の一部が自分の相続分だけを請求し、国と和解することも可能です。あらかじめご家族で遺産分割協議をして、相続人の一人が全額を請求することもできます。
詳しくは弁護士にご相談ください。

国の和解手続きと(元)勤務先に対する賠償請求はどちらを先にするべきですか

当弁護団の例では、国に対する和解手続きを先に行うことが多いです。ただし、過去の就労状況など事情によって有利不利が変わる可能性がありますので、ご相談の案件ごとに判断しています。

数年前、国に対する和解で解決金を受領した父が死亡しました。追加で解決金が受領できますか。

生存中に石綿関連疾患にかかったことで国と和解手続きを行い、賠償金を受領したあと、症状がさらに悪化して死亡された場合、国の和解基準額の差額を受け取れる場合があります。

建設アスベストについて

建設アスベスト給付金制度とはどういうものですか

2022年4月以降に開始予定の新制度です。 工場型アスベスト被害と異なり、訴訟手続きによることなく、国(労働者健康安全機構)に対する申請手続によって、賠償金を受領できる制度です。
対象となるのは、次の表の期間ごとに、表に記載している建設業務に従事することにより、石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚又は良性石綿胸水にかかった建設労働者、一人親方などです。もっぱら屋外作業に従事した方は対象外です。

期間業務
昭和47年10月1日~昭和50年9月30日石綿の吹付け作業に係る業務
昭和50年10月1日~平成16年9月30日一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務(屋内吹付作業も含む)

建設アスベスト給付金制度の給付金額を教えてください

 

①石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のない者550万円
②石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のある者700万円
③石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のない者 800万円
④石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のある者950万円
⑤中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺管理4、良性石綿胸水である者1150万円
⑥上記①及び③により死亡した者1200万円
⑦上記②、④及び⑤により死亡した者1300万円

給付金の減額調整とは何ですか

対象期間内の建設業務の従事期間が短期(肺がん又は石綿肺10年以下、びまん性胸膜肥厚3年以下、中皮腫1年以下)の方、喫煙歴のある肺がん患者は、それぞれ1割ずつ減額される見込みです。
なお、国が支払う給付金は、本来、被害者に払われるべき慰謝料額の1/2ƒにすぎません。残りの金額は、元勤務先や建材メーカーに対する賠償請求によって回収することができますので、ぜひご相談ください。(→企業賠償、メーカー責任)。

(屋内の)建設業務とは具体的にどういう作業ですか

法律では「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業若しくはこれらの作業の準備の作業」と規定されています。一般木造家屋やビル、マンション、公共建築物の建築、解体、改修工事に従事する労働者等は対象となります。
職種でいえば、大工、内装工、電工、吹付工、左官工、塗装工、タイル工、配管工、ダクト工、空調設備工、鉄骨工、溶接工、ブロック工、保温工、鳶工、墨出し工、型枠大工、解体工、はつり工、築炉工、エレベーター工、サッシ工、シャッター工、電気保安工、現場監督に従事する方々の業務が対象になる可能性があります。

個人事業者が給付対象となる要件はありますか

法律上、「特定石綿被害建設業務労働者等」と定義されており、ひとりで建設業務に従事していた方だけでなく、厚労省で定める人数以下(未定)を雇用する個人事業主や法人代表者も対象となります。

申請期限はありますか

病気の診断、じん肺管理区分決定もしくは死亡日から20年以内です。

必要資料や給付までの所要期間など具体的なことを教えてください

2022年4月から制度開始予定ですが、まだ具体的な手続きは決まっていません。詳細はわかり次第このウェブサイトで告知いたします。
なお、労災認定を受けていれば、建設業務と病気の関係がはっきりして、給付金申請も進めやすくなります。石綿による病気について労災の認定を受けていない方は、お早目にご相談ください。

労災認定を受けていないと給付金制度の対象にならないのですか

労災認定は要件にされていませんが、労災認定を受けていたほうが、申請から給付までの認定がスムーズになるので、認定の可能性がある場合、先に労災認定を申請することをお勧めします。
また、労災時効により石綿救済給付金を受領された方(及びご遺族)は、労災認定者と同様にスムーズな認定が想定されます。
じん肺管理区分の管理2や管理3で合併症がなく、労災認定がない方も給付金の対象になります。

給付金申請にかかる弁護士費用はいくらですか

申請手数料として、労災認定済みで資料の準備が簡明な事案では申請手続きで得られる給付額の5.5%を予定しています。
就労状況の説明が難しい、追加の資料調査が必要といった事案の場合、申請手数料を最大で11%いただくことがあります。

勤務先企業から見舞金や弔慰金、補償金などを受け取っていた場合、国から給付金を受け取れませんか

受け取ることはできます。ただし、受領金額が多額である場合、給付金が減らされたり不支給になることもあります。

労災や石綿救済法による補償を受けている場合、給付金に影響しますか

国の給付金制度は、労災保険の給付金や石綿救済法による給付金とは別に受け取れますので、受領額に影響ありません。

父の給付金を遺族が請求する場合、相続人全員で申請しますか

給付金請求は、遺族の代表者が単独で申請します。
請求権者は、法律で定められており、配偶者(内縁含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹の順で、ご存命のうち一番順位の高い方が受領します。
これに対し、工場型の和解手続きや企業賠償を請求する場合には、相続人全員がそれぞれの相続分に応じて請求します。

建設アスベストメーカー責任について

建材メーカーに対する責任追及とは何ですか

国からの給付金は、建設アスベスト被害者が被った損害の50%を填補するものにすぎません。
一定の要件を満たす方は、国からの給付金のほかに、建材メーカーに対する訴訟を提起して賠償金を受領し、さらなる被害回復を図ることも可能です。

請求が認められるための要件はありますか

これまでの裁判例によれば、建設アスベスト国賠給付金制度の給付要件と同じ期間に建設業務に従事したこと、主要原因建材及び主要原因企業が特定できることが要件となります。

主要原因建材とはどういうものですか

被害者の職種や作業内容等から、被害者の従事していた作業現場に到達した建材を意味します。必ずしも商品名やメーカー名まで特定する必要はありませんが、建材の種類は特定する必要があります。
石綿ばく露の可能性ある代表的な建材には、吹付石綿、吹付ロックウール、波板スレート、スレートボード、ケイ酸カルシウム保温板(ケイカル板)などがあります。

主要原因企業にはどういう会社がありますか

これまでの裁判で責任が認められた主な建材メーカーは以下のとおりです。
ニチアス、エーアンドエーマテリアル、エム・エム・ケイ、神島化学工業、大建工業、日東紡績、ノザワ、太平洋セメント、日鉄ケミカル&マテリアル、バルカー

建材メーカーからはいくらの賠償金が支払われるのですか。

次のとおり(1)基準慰謝料額をもとにして、(2)各メーカーの責任割合に応じてきまります。なお、(3)の事情がある場合、減額されることがあります。

(1)基準慰謝料額

石綿肺管理2(合併症あり)1300~1900万円
石綿肺管理3(合併症あり)1800~2200万円
石綿肺管理4、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚2200~2500万円
石綿関連疾患による死亡2500~2800万円

(2)各メーカーの責任割合
これまでの裁判で認定された責任割合は30%~80%など作業期間、石綿ばく露作業の内容等に応じて変わります。

(3)減額事由

  • 責任期間前に石綿にばく露した期間がある場合
  • 肺がん被害者で喫煙歴がある場合(-10%)
  • 就労期間が短い場合(中皮腫1年以下、石綿肺又は肺がん10年以下などの場合(-10%)

裁判上、救済される可能性のある職種にはどのようなものがありますか

大工、内装工、電工、吹付工、左官工、塗装工、タイル工、配管工、ダクト工、空調設備工、鉄骨工、溶接工、ブロック工、保温工、鳶工、墨出し工、型枠大工、築炉工、エレベーター工、サッシ工、シャッター工、電気保安工、現場監督 などです。

別の弁護士事務所で国の給付金制度だけ依頼しました。メーカー責任だけを依頼することはできますか

可能です。メーカーに対する賠償金は、国の給付金とは別に請求することができます。
使用した建材や作業場所などについてご相談ください。

被害者本人が亡くなっていて、どの建材を使っていたのかわかりません。メーカー企業への賠償金請求は無理ですか。

ご本人が亡くなっていても、同僚や親方の証言によって建材が判明した例があるのでご相談ください。
また、雇用先企業に対する賠償請求が可能となる場合があります。この場合は、作業期間や内容がわかれば、建材の特定がなくても責任追及ができる可能性があります。

企業への賠償請求について

企業から受け取る賠償金は労災保険等とは別に受領できるのですか

労災補償は、あくまでも治療費や休業補償の一部を補償するものにすぎません。病気を患ったことについて企業に責任がある場合、企業に対し、治療費や休業補償のほか、慰謝料も請求できます。
慰謝料は労災補償の対象外であり、加害企業に請求しないと獲得できません。石綿関連疾患による被害は重大で、病状に応じて1000万円~2600万円程度の慰謝料が認められます。

企業に対する損害賠償が認められるのはどのような事案ですか

工場型アスベスト、建設型アスベストの救済対象になるような業務が典型例です。
そのほか、造船・自動車・鉄道等の製造・整備業者、石綿原料や製品を運搬する運送業に従事していた労働者、直接石綿を取り扱わない現場監督、倉庫業務の職員、さらには吹付石綿のある設備内で事務作業に従事した方などにも企業の責任が認められています。

企業に対する損害賠償が否定されるのはどのような事案ですか

これまでの裁判例で被害者の請求が認められなかったのは、石綿を取り扱った時期が古い場合(例えば昭和30年代以前に退職した例)、どこでどのような石綿製品を取り扱ったのかが判明しない場合、石綿を取り扱った期間が短い場合(じん肺、肺がんの例)などです。
企業側からは「当社は、石綿製品製造業者でないから、被害を予測できなかった」「被害者が現場責任者だから自分で粉じん対策するべきだった」「肺がんの原因は喫煙である」などと反論される場合があります。しかし、このような指摘は、裁判所が採用しないことが多いので、請求をあきらめる必要はありません。

慰謝料の賠償額の水準はどうなっていますか

これまでの企業責任追及の裁判例では、死亡慰謝料で2500~3000万円、闘病中の方の慰謝料は病名に応じて1000万円~2300万円程度が認められています。ただし、事案に応じて変わります。
労災給付とは別に支払われる賠償金ですから、慰謝料を受領することで労災給付が減ることはありません。

どのような方法で賠償金を獲得するのですか

賠償金の獲得手段には、示談交渉と裁判の二つがあります。
まず示談交渉を行いますが、支払に応じる姿勢のない企業に対しては裁判手続きを利用せざるを得ないことになります。

示談交渉では何を交渉するのですか

当弁護団の代理人弁護士が、それまでの調査資料や労災認定結果、類似裁判例などにより相手方企業に被害発生の責任があることを説明します。そのうえで、過去の裁判例の水準に則った賠償金の支払いを求めて交渉します。
これに対し、相手方企業は担当者又は代理人弁護士を通じて対応します。
なお、これまで被害者の出ていなかった業種の企業、小規模の企業では示談交渉に全く応じない例もあります。しかし、一定規模以上でこれまで被害事例が多く出ている業種(港湾運送業、造船業、繊維業など)では、一定水準の支払に応じる企業や、石綿被害者の補償制度を設けている企業もあります。

相手方企業がすでに廃業していたり、賠償金を支払う能力がない場合、何か打開策はありませんか

大規模プラント工場、造船所、発電所や大手ゼネコンの関与する建設現場では、元請け企業が多数の下請け事業者を指揮監督して作業に従事させることが通常です。
このような現場での作業が原因で石綿被害が生じたとき、下請企業がすでに存在しない場合や、下請企業の支払い能力が乏しい場合でも元請け企業も相手方として賠償請求できる場合があります。
また、石綿工場内で勤務していた方、建設作業に従事された方の場合、就労時期によっては国から賠償金、給付金を受領できる可能性があります
工場型アスベスト
建設アスベスト給付金

裁判(訴訟手続)について

仕事や看病で裁判所に行けない場合、裁判は依頼できませんか

裁判は平日の昼間に行われます。そのためお勤めの方は裁判に出席することが難しい場合があります。代理人弁護士が出席しますから、ご本人やご家族が裁判に出席する必要は基本的にありません。
ただし、裁判が大詰めにさしかかり、過去の仕事の状況や看病の内容などを裁判所で直接証言していただく手続き【証拠調べ手続き】の際には、弁護士と一緒に出席していただくことがあります。

裁判すると名前や顔が公表されますか

アスベストに関する裁判は社会の関心が強く、提訴や解決の際に報道される事件もあります。ただし、その際にも依頼者のプライバシーに十分配慮し、勝手に名前や顔写真を掲載させるようなことはしませんのでご安心ください。

裁判ではどういったことを主張するのですか

労働災害の裁判では、作業内容や石綿粉じんの曝露状況、被害結果の発生(病気の発症や死亡)、その原因となった企業の落ち度(安全対策の不備)を具体的に証明する必要があります。
アスベスト裁判の場合、石綿が原因で病気を発症したという被害結果は、労災認定時に判断されて、明らかになっているケースが多いのが通常です。
ただし、どこで何の仕事をしていて石綿の粉じんを吸い込んだのかは、被害者それぞれ異なるため、具体的に、裏付けをもって主張し、証明する必要があります。

なぜ時間と手間を掛けて裁判をするのですか

石綿被害は、石綿粉じんに曝露した後、数十年経って発症するという点に特色があります。そのため、当時の作業実態を加害企業が把握していないことがあります。また、加害企業は総じて危険性への認識は薄く、安全対策が不十分であったことの自覚がないことも少なくありません。
そのような企業に対し、裁判所で過去の作業内容や取り扱った石綿製品について立証し、企業の責任を認めさせることが必要です。こうした事案の勝訴判決、和解解決を積み重ねることが、原告となった被害者の救済になるとともに、他の被害者や将来発生する被害者の道しるべになるのです。

アスベスト被害相談について

電話やメールで相談、依頼できますか

当弁護団では、遠方の方、闘病中のご本人やご家族の状況に応じて、できる限り電話でご相談をお聞きし、賠償金や給付金の請求可能性や必要資料をお伝えできるように努めています(相談無料)。
また、全件をアスベスト事件の経験ある弁護士が聞き取り、説明しています。
実際に国または企業に対し請求する際には、労災資料、職歴の証明書(年金記録など)、医療記録などが必要となります。労災、給付金や訴訟(裁判)の手続きを進める際には、依頼者の方々に直接お会いしてご説明したうえで事件を進めるようにしています。
大阪、東京のお近くの方は、弁護団所属の弁護士の事務所で直接相談、依頼をすることもできます。

弁護士事務所での法律相談はどのようなものですか

弁護団事務所での来所による法律相談の場合、労災資料やカルテなどの各種資料を確認しつつ、ご相談者の労災の見込み、賠償金や給付金の見通し、手続き上問題となる点などを具体的にお答えいたします。

弁護団事務所(大阪・東京)まで相談に行けない

闘病中のご本人に代わり、ご家族がご相談に来られても相談対応可能です。
また、診断書、労災申請関係資料などをお持ちであれば、それらをあらかじめお送りいただき、確認したうえ、電話で労災申請、企業補償に関するアドバイスができる場合があります。さらに、事情に応じて、出張相談することもあります。遠方の方もまずは電話又はメールにてお気軽にご相談下さい。

Zoomなどテレビ会議システムでの相談は可能ですか

可能です。お電話又はメールでのお問い合わせの際にご相談ください。

相談料はかかりますか

ご相談は、来所、電話、メールいずれの方法でも無料です。

弁護士費用を知りたい

弁護士費用のページをご覧ください。