石綿被害の救済・補償

石綿被害の救済・補償

石綿を原因とする病気(中皮腫、肺がん、石綿肺など)は、いずれも命に関わる重篤な症状を引き起こします。患者やその家族は治療費負担、その後の生活について非常に強い不安をお持ちです。
過去の仕事や生活環境により、石綿を原因とする病気にかかった方は、労災保険や石綿救済法によって国からの補償が受けられます。(※時効期間がありますからできるだけ早く申請しましょう。)
また、労災、石綿救済法によって補償を受けた後、企業に対して損害賠償を請求できる場合もあります。
このページで概要をご確認のうえ、当弁護団にご相談下さい。

※アスベストの性質やそれによって引き起こされる被害は「アスベスト(石綿)を知る」をご覧下さい。

アスベスト(石綿)を知る

このような方は被害者相談をご検討ください。

  • 病院で中皮腫の疑いがあると診断され、仕事も辞めてこれからの生活が不安
  • 間質性肺炎と診断され、咳が止まらない。石綿入りの建材を使って建設作業をしていたことがある。
  • 父が中皮腫で亡くなった。石綿が原因で発症する病気らしいが、どんな仕事をしていたのか知らない。

労災保険

対象になる病気

中皮腫、肺がん、石綿肺(じん肺)、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水がその対象です。
補償対象となるための勤務期間や医学的根拠については、基準が定められています。

給付(補償)の内容

療養期間中の治療費、休業補償のほか、死亡した場合には葬祭料や遺族補償も受けられます。

※補償額には一定の限度があります。また、慰謝料は支給対象外です。被害について完全な賠償を求める場合には、過去の勤務先に損害賠償請求を行う必要があります。詳細は損害賠償請求をご覧ください。

期間制限

各給付には2年又は5年の期間制限があり、期間を過ぎると時効となり給付が受けられなくなります。ただし、死亡後5年を経過した事案でも、石綿救済法による特別遺族給付金を受けられる場合があります。

石綿救済法

石綿健康被害救済法(石綿救済法)は、労災保険の対象とならない方(労働者の家族、一人親方・中小事業主やその家族[労災特別加入なし]、工場周辺の環境公害被害者など)を対象としています。また、労災保険の請求期間を過ぎて時効となった方を対象に救済措置(労災時効救済)が定められてきます。

対象になる病気

中皮腫、肺がん、石綿肺(じん肺)、びまん性胸膜肥厚が補償の対象です。
労災の認定基準に一部準拠していますが、肺がん、石綿肺については労災よりも厳しいのが特徴です。

給付(補償)の内容

治療費、療養手当、葬祭料等を受けることができますが、労災に比べると支給額が少ないのが実情です。

 

損害賠償請求

石綿による被害者のため、労災等とは別に、一定額を支払う補償制度を設けている企業もあります。
しかし、独自の補償制度を設けている会社はほとんどありません。たいていの場合は労災認定後、被害者側で損害を計算したうえで企業と交渉します。交渉に応じない場合は訴訟して賠償金額を決定します。

請求できる損害の対象

損害賠償の対象は、治療費、病気で仕事できなかった期間の休業損害、将来にわたって仕事できなくなったことによる逸失利益のほか、病気で苦しんだことによる慰謝料などです。
治療費や収入に対する補償が労災保険で支払われている場合には、企業に求める損害賠償の中心は慰謝料になります。

慰謝料の相場(過去の裁判基準)

症状の進行度や被害結果によって変わりますが、おおむね1000万円~3000万円までの範囲で解決することが多いです。

このような方もご相談下さい。

  • 労災申請の段階で当時の勤務先から証明を拒否された。
  • 労災申請したが、不支給になった(却下された)
  • 労災認定を受けた後、当時の勤務先会社の企業補償制度を利用しようとしたら、年齢を理由に現職者よりも著しく低額の補償しか受けられないと分かった。
  • 会社から数百万円の弔慰金(ちょういきん:見舞金のこと)を支払うと言われたが、これ以上は支払ってもらえないのか。

労災補償と石綿救済法の比較

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